内窓のクレーム|虫の声が聞こえない?本当に怖いのは「換気」の見落とし
内窓のクレーム
内窓は、寒さ・暑さ・結露・外からの音などのお悩みを軽減してくれる、とても優れたリフォームです。
実際、施工後に喜んでくださるお客様がほとんどです。
ところが、そんな内窓にも「クレーム」があります。
中には思わず笑ってしまうものもあれば、施工する側が本気で考えなければならないものもあります。
こんにちは。東京都多摩市と世田谷区を拠点に窓断熱リフォームを行っている、 株式会社リフォームダイレクト代表のLIXIL窓マイスターの小笠原です。
今日は少し趣向を変えて、これまで私が耳にした「内窓のクレーム」について書いてみたいと思います。
①「秋の虫の声が聞こえなくなって寂しい」
最初は、本当の苦情というよりも、ちょっとしたジョークのようなクレームです。
ちょうど今のような10月頃になると、夜になると鈴虫などの 「リーン、リーン」という秋らしい鳴き声が聞こえてきます。
以前、内窓を施工させていただいたお客様から、
と言われたことがありました。
内窓は、既存の窓との間に空気層ができることで断熱性能が高まり、同時に外から入ってくる音も小さくなります。
車の走る音や人の話し声などが聞こえにくくなる一方で、今まで窓を閉めていても何となく聞こえていた秋の虫たちの声まで聞こえにくくなったわけです。
夜ですから、防犯を考えれば窓を開けっ放しにもできません。
そのお客様とはとても仲良くさせていただいていたので、私は冗談で、
「じゃあ今度、鈴虫の鳴き声のCDをプレゼントしますよ(笑)」
と言ったら、ケラケラ笑ってくださいました。
こんなクレームなら、私も大歓迎です。
②「障子だと思ったら、夜になるとガラスが光る」
次は、仲間の業者から聞いた、もう少し真面目なクレームです。
和室の障子を外し、その場所に和紙調のガラスを使った内窓を取り付ける方法があります。
格子を入れると遠くから見た雰囲気はかなり障子に近く、しかもLow-E複層ガラスなどを選択すれば、障子とは比較にならないほど高い断熱性能を持たせることができます。
昼間に見ると、とてもきれいなんです。
ところが、お客様からこんな話が出たそうです。
こんなふうに見えるなら、最初に教えてほしかった。」
これは、なるほどなと思いました。
障子紙は表面がマットですから、光をやわらかく受け止めます。 一方、和紙調に見える商品であっても基本的には「ガラス」です。
夜、室内が明るく外が暗くなれば、ガラス面に室内の照明や人影などが映り込むことがあります。
これは断熱性能が良いとか悪いとかいう話ではありません。
「お客様がその部屋で、どんな雰囲気で暮らしたいのか」
そこまで考えて商品を説明しなければならないということです。
和紙調の仕様は決して安い商品ではありません。 だからこそ私は、この話を聞いて以来、商品そのものだけではなく昼と夜で見え方が違う可能性まで説明することが大切なんだと改めて感じました。
③ 私が一番怖いと思う「換気」のクレーム
そして3つ目。
私が内窓工事で特に慎重に確認しているのが、換気です。
2003年7月に建築基準法のシックハウス対策が施行され、その後の住宅では原則として機械換気設備が設けられています。 住宅の場合、一般的には0.5回/時以上の換気能力を持つ、いわゆる24時間換気システムが使われています。
そして住宅によっては、外窓のサッシ部分に換気框(かんきかまち)などの給気機構が設けられています。 現場では換気ブレスなどと呼ばれることもあります。
本来、その窓部分から外気を取り入れることを前提としていた換気計画が、変わってしまう可能性があります。
LIXILも、既存窓に換気機構がある場合、内窓の組み合わせによっては既存の換気機能が使えなくなるケースがあることを案内しています。
だから私は現地調査のとき、単純に窓の幅と高さだけを測っているわけではありません。
- この窓はどのようなサッシなのか
- 換気框や給気口は付いていないか
- 家全体の換気はどこから給気し、どこから排気しているのか
- 内窓を付けることで、その換気を妨げないか
こういうところまで見る必要があると思っています。
窓の結露が減っても、家全体の湿気対策は別の話
内窓を付けると、窓表面の結露が軽減されるケースは多くあります。
しかし、だからといって家の中の湿気そのものが消えてなくなるわけではありません。
室内の湿度が高く、換気が十分でなく、温度の低い場所が露点温度を下回る条件になれば、別の場所で結露する可能性があります。
例えば、
- 押し入れの奥
- 家具やベッドの裏
- 外壁側に置いた収納の裏側
- 畳の下など、普段見えない場所
こうした場所は空気が動きにくいため、条件によっては湿気や結露、カビが発生しやすくなります。
これは壁の内部で発生する「壁体内結露」とは別の話ですが、どちらにしても見えない場所で進行する湿気は厄介です。
押し入れの中が湿ってしまった。 畳にカビが出てしまった。 家具の裏側にカビが発生していた。
そこまでいけば、「内窓を付けて暖かくなりましたね」で済む話ではありません。
相見積もりで「なぜかうちだけ高い」
実は、換気対応が必要な窓では、対応部材を使うため金額が上がる場合があります。
すると相見積もりになったとき、
「リフォームダイレクトさんだけ高いですね」
となることがあります。
よく見てみると、相手の会社の見積書には換気対応の部材が入っていない。
それでは、そもそも同じ商品、同じ条件で競争しているわけではないんです。
お客様からすれば、一見同じ「内窓」です。
だから、
と思われるのも無理はないと思います。
私がご説明しても、
「そんな換気口、使ってないからいらないよ。」
と言われることもあります。
それでも私は、必要性があると判断した場合には説明します。
そして、それによって見積金額が高くなり、結果として仕事をいただけなくても、それはそれで仕方がないと思っています。
良いことだけを言うのが、プロではないと思っています
内窓は本当に良い商品です。
暖かくなる。
暑さが軽減する。
外の音が気になりにくくなる。
結露が軽減することもある。
でも私は、
良いことだけを説明して売るのが、プロの仕事だとは思っていません。
和紙調ガラスなら、夜は見え方が変わることがあります。
換気框のある窓なら、内窓を付けた後の換気まで考えなければいけません。
場合によっては、そのために見積金額が上がることもあります。
でも、それを説明しないまま安い見積書を出すことと、 きちんと理由を説明して高い見積書を出すこと。
私の中では、まったく意味が違います。
メリットも伝える。
デメリットも伝える。
注意点も伝える。
そのうえで、お客様に選んでいただく。
それで私が選ばれなかったとしても、それは仕方ありません。
でも、
「知っていたのに説明しなかった」
という仕事だけは、私はしたくありません。
LIXIL窓マイスターとして窓を扱う以上、 これからも私は内窓を付けることだけではなく、付けた後のお客様の暮らしまで考えてご提案していきたいと思っています。
そして、少し高くなってしまったとしても、
「なぜこの部材が必要なのか」
「なぜこの仕様を勧めるのか」
を、これからも正直に説明していきます。
内窓は「付けばいい」のではありません。
その家の窓、換気、暮らし方まで見たうえで、どんな内窓を付けるのかを考える。
私は、そこまでが窓断熱リフォームだと思っています。
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